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その桜は、あたしみたいだと思った。
周りの梅が咲き出して、焦って咲いてしまったその桜は、まるであたしみたいだった。
周りから浮かない様にと、必死に焦っているその桜は、まるであたしみたいだった。
桜の幹に手を置くとそっと呟いた。
「貴方は桜、よ。まだ、春を待っていていいのよ。ねぇ、もう一度、おやすみなさい」
ゆっくりと、再び時がくるのを待つために、休養する桜を見ながら、思う。
その桜はまるであたしみたいだけれども、あたしは桜と違って何度も花を咲かせることは無い。
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