番外編【新人デザイナーの憂鬱】-3 勘違い-2

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気付けば俺は事務所に戻っていた。 眞辺さんや杉浦さんじゃあるまいし、俺に戻って来なければならないような、それほどの仕事量はない。 事務所には今日は誰もいなかった。 子供が産まれた船越さんは家族のために早く帰宅するようになったし、眞辺さんと杉浦さんが帰れば、来る前から誰もいないことはわかっていた。 ビルの守衛が俺が戻ってきたことに驚いていたようだが、最近になってやっと俺の顔を覚えてくれたらしく、面倒なことも聞かれることなく事務所に入れた。 静まり返った事務所はそれまでの暖房の名残も薄れ、冷え始めていた。 俺は暖房を入れ直して席に着くと、パソコンの電源を入れた。
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