番外編【新人デザイナーの憂鬱】-3 勘違い-2

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モニターに立ち上げたのは、眞辺さんが根を詰めている紅屋のパッケージデザインのラフ案だ。 眞辺さんに冗談で「お前もやってみろよ」と言われ、ほんの少し触ってみたが、眞辺さんに大いにダメ出しをくらい、撃沈したまま放置していたものだった。 老舗の和菓子のパッケージ…… 品格、気品、従来のパッケージを上回る斬新なデザイン。 それでいて、パッケージをほどいて現れる中身の和菓子を引き立たせるものでなければならない。 それは思った以上に難しいものだった。 それを眞辺さんは確実に仕上げなければならない。 家は会社から徒歩で通える程度の距離なので、俺に終電の時間は関係ない。 俺は前回眞辺さんに指摘を受けたデザイン画を見つめ、 静かにペンタブを握りしめた。
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