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地下に到着すると甘い匂いやら香ばしい匂いやらが人の熱気に交って漂ってきた。
夕飯の買い物か、夫婦や家族連れも多かった。
「へえ……地下って結構にぎわってんだな」
率直な感想を呟くと、俺も人の波に交って売り場を歩き始めた。
足を止めたのは和菓子店が並ぶ一角で、向かいには洋菓子店が並んでいる。
ここのテナントの一店舗が、紅屋の新店舗と入れ替わるらしい。
俺は和菓子店の方へ足を進め店先にあるショーケースの中をじっくり見て回った。
昨日持帰った脳内のデータに、目の前の和菓子のパッケージを参考にデザインを練る。
本来、これは俺の仕事じゃないのかもしれないが、
少しでも……
「……あっ、すみません」
夢中になってショーケースの中を見ているうちに、実際に商品を買おうとする客と肩がぶつかってしまった。
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