番外編【新人デザイナーの憂鬱】-3 勘違い-2

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事務所に着いたのは午後八時半をまわっていた。 ビルの前まで来て上を見上げると、部屋の電気は消えていた。 少し意外だった。 この時間になってもまだ二人が作業をしている可能性も十分あったので、いない分には俺にとっては都合がいいのだが。 今日は早く帰って、明日も一日作業ってとこか…… 今頃二人でメシでも行ってんのかな。 俺は呑気にそんなことを思っていた。 守衛に社員証を見せて上に上がる。 部屋に入るとまだそこは温かく、暖房の名残があり、ついさっきまで人のいた気配がした。 「入れ違いか……」 俺はぽつりと呟きながら真っ暗な部屋に明かりを灯し、自分の席に着いた。
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