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モニターの電源を付けながら、俺は何気なくスマホを取り出した。
眞辺さんにちょっと探りを入れようと思ったのだ。
今日の段階で作業が終わっている……ということは考えられなかったが、おせっかいにも憔悴しているなら少しくらい元気づけてやろうと思ったのだ。
「お疲れさまです、橋爪です」
移動中なのか俺の言葉に雑音交じりの返事があった。
『どうしたんだよ?』と聞かれ、「紅屋の方、どうですか?」と軽く聞いた。
すると、眞辺さんからは意外な言葉が返ってきた。
『今日は気分が乗らねえんだよ。明日だ、明日』
俺はもう少しで叫ぶところだった。
いくら眞辺さんでも気分が乗らないからと言って今日の作業をないがしろにすれば、来週の納期に間に合わなくなると思ったからだ。
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