番外編【新人デザイナーの憂鬱】-3 勘違い-2

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そして、翌日の日曜になって、眞辺さんから連絡があった。 『データ、受け取った』 俺が挨拶する間もなく、電話に出ると眞辺さんは前置きもせずに唐突に言った。 思っていたとおり、今日は午前から出勤かと時計を見ながら「ああ」と短い返事をした。 「眞辺さん、思ってたより余裕みたいですから、そんなの必要ないと思いますけど」 『バーカ。余裕なわけねえだろ』 それも思っていたとおりだった。 「……お力になれるかわかりませんけど。ちょっとですけど僕も考えてみたんで、眞辺さんに見てもらおうかと。前回、ボロボロにダメ出しされたんで、まあ……リベンジです」 そこでほんの一瞬間が空いた。 やはり、かえって迷惑だったか? 見てもらうのは紅屋の件が落ち着いた後でも構わない。(はなから参考にはならないかもしれないから) そう言おうとして口を開きかけると電話の向こうの眞辺さんの方が一呼吸早かった。 『……サンキューな。参考にしとく』
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