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「嘘ですよね、それ」
俺の口から出たのはそんな言葉だった。
眞辺さんから初めて杉浦さんへの気持ちを聞いたが、俺は案外冷静だった。
「眞辺さんが『怖い』なんて、信じられないですよ。怖いものなんてないくせに」
俺の知ってる眞辺さんは……
こんな弱音を吐いたりしない。
「お前、俺のことどう買い被ってるわけ? 俺だって怖いものくらいあんだよ」
「いいえ、嘘です。ホントは自信あるんでしょ? 四葉の男なんかとどうかなる前にとっとと自分のものにしちゃえばいいじゃないですか。絶対、四葉の男なんかに渡さないでくださいよ」
ズルズルと麺をすすっていた眞辺さんの手が初めて止まった。
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