危機。

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己を待つようにして立っている沖田の元へ、土方は歩み寄った。 「・・・誰だよ、頂いてしまうと怒る人ってんのは」 そのまま通り越し際に吐き捨てるように呟いたのへ。 「あんたしかいないだろ」 沖田が肩を竦ませて答えた。 「・・ってなんだ、その言葉遣いの違いは?!」 ・・なんとなく。 こんなことの後には、土方はとにかく全てに腹立ってしまう。 「大体、なにが『お気持ちだけ頂きます』だ、このやろう!色男ぶんじゃねえ!」 「そいつは心外だ。ぶったんじゃなくて、どっかの色男サンに倣った、だけですよ」 「ぁあん?」 土方の睨んだ先で。 「しかし、ねえ。俺なんかでも妬いてくれるんだ?」 沖田が哂いながら、その『どっかの色男サン』の額へと軽く口付ければ。 「っ総・・てめえ、こんなんで騙されねえよ」 土方が、その白い頬をさっと紅色に染めた。 「騙す・・?」 沖田のほうは一瞬目を見開くなり、げらげらと笑い出し。 その脇腹を、土方はゴスッと拳打する。 「痛ェ!」 いつもより数倍強くお見舞いしておいて、土方は そのまま沖田の横を通り越した。 (・・・俺が受け取らなかったの嬉しいくせに。) ったく、可愛いんだからアンタは。 すたすた去ってゆくその背を見ながら沖田が、     
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