危機。

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危機。

      (総司のやつ、また・・) 土方が立ち止まった向こう。 「助けていただいた御礼にこれを・・と」 綺麗に着飾った女が、震えた声でそう言って。 沖田のもとへ、華奢な手にふわりと握られた襟巻を おずおずと差し出したのを、 外出先より帰ってきた土方は、少し離れた所で 食い入るように見つめた。 土方が道の向こうから来ていたことに 気づいていた様子で沖田が、 ちらりと立ち止まった土方に視線をやった。 屯所入り口の門の前、土方の見つめる先で。 そして沖田は突っ立ちながら困ったように首の後ろを掻いた。 (総司) きりきりと胃の内で逆流する感をおぼえながら。 どうするつもりだ、と。土方は息を呑んでいた。 「お気持ちは有難いのですが・・頂いてしまうと怒る人がいまして」 「・・え」 「申し訳ない。その・・お気持ちだけ頂きます」 「あ・・いえ、ごめんなさい、でしゃばったことを」 女がぺこりと頭を下げて、やがてパタパタと土方の横を通り過ぎていった。     

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