雑用係(ファウスト)

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 落胆しながら言うと、シウスは実に愉快そうに笑った。 「よいではないかえ。いっそ、お前の直下につけてしまえばよいのに」 「シウス」 「お前の仕事はあまりに多い。部下の教育や指導、訓練だけならまだしも、報告書の点検や地方砦の管理、問題案件の考察。騎兵府の仕事は細かくあれこれと忙しい。この際、有能な補佐官を一人つけるのもよいだろうよ」  そんな勝手を簡単に言うが、これはそう簡単な事ではない。  各団長は自分の直下として、補佐官を任命する権利がある。団長の補佐や、不在時の代理などを任せるのだ。  だがそこに、入団二年目のランバートをつけるのは問題がある。他の隊員からの不満もあるだろう。  そして個人的に、ファウストは心配だった。ランバートにあまりに頼ってしまうことが。 「あの坊やの有能さは、この決算書類を見ても容易にしれる。こんなに完璧な決算書類、騎兵府から上がってきたことがないからの」  シウスの手には少し厚めの紙の束がある。騎兵府の一ヶ月の決算だ。  予算や必要経費の精算や決済は宰相府が行っている。だが、この書類の作成が一番面倒で、そして苦手なのだ。細かな数字を合わせる事や、領収書を他の計算書類に起こし、それを更に決算書に起こす作業がだ。     
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