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「んっ」
熱くなる自身を抑えられなかった。
場所の違い、旅という開放感は確かにあった。だがそれでも、多少しくじった。
触れてはいけないと思っていたはずだ。好意を自覚したのなら余計に、あの体に触れてはいけなかった。許した時点で、ダメだったんだ。
媚薬のような効果に泣いて、切なく艶めかしいランバートを見て、放っておけなかったなんてのは善人過ぎる言い訳だ。正直に言えば、触れたかったのだろう。
普段なら絶対にしなかった。腕章をつけ、制服をつけてこの部屋でなら、きっとしなかった。誰も知らない、見ていない、知られる事も無いと思ってしまったからこそ、触れてしまった。
本格的に抱かなかったのは、最後の矜持だ。あやすようにしていた手は、そうすることで「これはあくまでランバートを助けるためだ」という言い訳だ。
結局唇に触れ、自身の悦びを遂げた時点で、化けの皮など剥げている。
「くっ…そっ」
熱が逃げない。手に、下肢に、昨夜の情事が蘇る。
自慰の延長上のような行為で終われたのは、たまたまだ。あんなの長く続けば負けるのは自分だった。
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