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「僕、…」
「中で聞くから入れ」
「っここで聞いて!」
「…ああ?」
あまりの剣幕に頷く。
ここ最近つきまとっている間に溜め込んだ胸のうちだろうかと静かに震える青年を見る。
受け止めるのが神父の勤めだ。
これが彼のタイミングならここで聞こう。
「ぼ…僕!…………じつはっ!ボタンフェチなんだ!
ボタンがいっぱいついてる服を来てる男の人が大好きなんだ!
…ものすごく好きなんだ。だからオコナーを見てた。
オコナーがあんまりセクシーだからついっ…………いや正確にはボタンがいっぱいのオコナーが大好きなんだ。だからっ」
もの凄いことを言われている気がするが青年の口を塞ぐすべが思いつかなかった。
あまりに斜め上な台詞に一瞬聞自分の立場も忘れてあんぐり口を開けてしまう。
後頭部を殴られたくらいの衝撃にただ絶句した。
こいつは何を言っているんだ。
そして青年は神の御前で冷たい石畳に膝をつき俺に告げた。
「オコナー!僕と付き合ってください!」
頭を垂れ俺にむかって突き出された両掌の上に白いリングが乗っていた。
あの白い鳩と同じ幻だろうなと、俺は思った。
足元に変態、右に寒空、左に神。
司祭様、俺はこの真剣な眼差しをした迷える隣人に神父としてどうするべきでしょうか。
こうして神様に見守られながら俺と青年のちぐはぐな毎日がはじまった。
ー序章ENDー
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