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「ここ最近のことです。魔王と名乗るものが、この世界を掌握しようと、人間たちを襲い始めました。我々も抵抗をしているのですが、魔王軍の圧倒的な戦力を前に侵攻を遅らせるのが精一杯なのです。そこで我々は最後の希望として、勇者様のお力を借りようと祈ったのです」
「へー、で、結局何すればいいの?」
リサは他人事のように呟く。すると、髭は深々と頭を下げた。
「どうか、魔王を倒してください」
「……」
しばらくの沈黙が続いた。リサは何度も首を傾げ、髭が言ったことを何度も頭の中で反復していた。
「いやいやいや、魔王を倒すとか無理なんですけど。ウチ暴力反対なんで」
「そ、そんなこと言われても困ります! もう勇者様しか頼れないのです! お願いします! 何でもします! 金銀財宝すべて捧げますし、イケメンかき集めます!」
「えー! マジで! 悩んじゃうなー。まぁ? 行くだけならいいけど?」
「ありがたき幸せ! ではよろしくお願いします!」
こうして、女子高生リサの異世界旅行が始まったのであった。
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