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ここは竜の岩山と呼ばれる場所。魔王軍幹部の一人、ドラゴンがいると言われている。
「てか、カバンあって良かったー! さすがにスマホと化粧品くらいはないとねー」
学校指定のカバンを背負い、岩や砂利で足場の悪い坂をスキップで登って行くリサ。
「あー、でもあの髭、ゲロうざいわ。魔王だけじゃなくて幹部もって、聞いてないし」
リサはあまりの怒りに、目の前に転がる石ころ蹴った。石は放物線を描き、少し離れた灰色の大きな物体に当たった。
「誰だ? 我の眠りを妨げる者は」
灰色の物体がムクリと動き出す。背中に生えた大きな翼を広げ、鋭い爪を生やした四肢で体を起こすと、縦長の黒目でリサを睨みつけた。リサはいきなり幹部のドラゴンに出会ってしまったのだ。
「でっかー! 何これ! すっごいリアル。U◯Jばりの凄みあるよ」
「人間か。武装もせずに我に挑むとは、相手にならん。今なら見逃してやる」
鋭い牙の生えた大きな口で話すドラゴンは、自身の影に隠れてしまっているリサを見下ろす。
「見逃がすって意味わからないんですけど。え、てか、その爪ちょー濁ってない? 水虫?」
「み、水虫?」
ドラゴンは、リサに指さされた自身の爪を見つめた。
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