0人が本棚に入れています
本棚に追加
メンバーその3。僧侶。
「盗賊?どうしたの?」
溜め息を吐いて宿屋から出ると、僧侶が水桶を持って歩いていた。
「いや……気分転換だ。僧侶は何を?」
「天馬にご飯を上げようと思って。いつも頑張って私たちの馬車を引いてくれるものね」
天馬というのは、この旅を助ける為に神から遣わされた馬だ。
美しい白馬で、主に僧侶が面倒を見ていた。
「そっか、俺も手伝うよ」
「え、いいわ。悪いもの」
「いいって。えーと、飼い葉は宿屋の主人に頼めば……」
「え?天馬のご飯は魔物の新鮮なお肉よ?」
俺は無言になった。
「あ、いけない!これは教会の禁則事項だった!私ったら」
可愛らしく舌を出す動作をしている僧侶だが、俺は今聞いてはならぬ事を聞いてしまった。
「えーと、天馬は今から雑食って設定で話を進めるから、パンでも買って来ましょうか。村の入り口で美味しそうな匂いがしてたわね」
「あ、ああ。そうだな……」
俺は何も聞かなかった。そう、何も……
パンを買った後、俺は急用を思い出したという設定で僧侶と別れた。
最初のコメントを投稿しよう!