第一話 最後の晩餐は〝豚丼〟

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 ふと思い出したように陽介が訊ねた。 「どんなやつなんですかね? このデスゲームの主催者って」  参加者同士で何度も話し合ったが、結論は出なかった。七人の共通点も見つけられなかった。 「さあ、頭のイカれたやつだろう。おまえ、どうやってここに連れて来られたんだっけ?」  伊藤に訊かれ、改めて自分の記憶をたどる。 「俺は……訪問販売の女性が訪ねてきたんです。水道の蛇口につける浄水器のセールスで……若い女性でした。妙にきれいなねえちゃんだったなあ。家でいっしょにお茶を飲んでたら急に眠くなって――」 「おまえ、訪問販売を家に上げたのかよ」 「寂しかったんですよ。そのとき、僕もう一週間近く誰ともしゃべってなかったんです。普段は派遣で工場で働いてたんですけど、俺の入れられたライン、ベトナムラインって呼ばれてて。ベトナム人ばっかなんですよ。だから言葉が通じなくて」 「なんでそのラインに入れられたんだ? 日本人なんだろ?」
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