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智也は急に鉄の扉を両手のこぶしでドンドンと叩きだした。
「おーい、運営、聞いていたか? 今度はちゃんとサケと昆布も用意しとけよ! 腹が減っちゃデスゲームは乗り切れないんだ。米と梅干しだけで殺し合いができるかよ!」
腕を振り上げ、太鼓を叩くように鉄の扉を打ち鳴らす。
「……さっきから何のつもり?」
智也は扉を乱打する手を止め、首だけで振り返った。その目は見た。森尾さんの背後に巨大な鉄球が迫っているのを。
扉をガンガンと打ち鳴らす音が消えたことで、ゴロゴロという石うすを引くような音が急に大きくなる。
振り返った森尾さんがぐしゃ、と鉄球に巻き込まれるように倒れた。横っ飛びに智也は逃げた。そこへ鉄球が猛スピードで突っ込んでくる。鉄の扉を吹き飛ばし、闇の向こうに転がっていく。
ふう、と息をついて、智也は立ち上がった。象に踏みつぶされたような森尾さんの死体に手を合わせた。
「おにぎりとお茶、ごちそうさまでした」
勝者は扉の消えた出口から外へ出て行った。
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