第六話 地上300メートルの天空ディナーはカレー

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 スクリーンの写真が、ネクタイを締めた五十年配の中年男に切り替わる。 「ゼッケンナンバー134番。職業は会社経営者です。脱サラで起業するも、事業がうまくいかず、不渡りを出す寸前まで追いつめられ、一発逆転を狙って、このデスゲームに参加しました。なお、専業主婦の妻と、高校生と中学生の二人の娘がいます」  窓越しに、眼鏡をかけた顔が苦しげにゆがんでいた。サラリーマンのような服装で、高層ビルの窓にはりつく姿が異様だった。    スクリーンの写真が、トレーナーを着たやや小太りな青年に変わる。髪がボサボサで、肌が白かった。ぼんやりと死んだような目をしている。   「ゼッケンナンバー482番。無職。高校を不登校で中退。両親は幼いころに離婚。母親のパート収入を頼りに引きこもりの生活を続けていましたが、その母親が病気で死去。アパートを追いだされ、このゲームへの勧誘を受けました」  三名の参加者の紹介が終わる。片手の指がない登山家、起業に失敗した経営者、運動不足気味のニートというわけだ。
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