第六話 地上300メートルの天空ディナーはカレー

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 泡がグローブに!……  新城の顔がゆがむ。窓の外にある10センチの縁に立っている参加者にとって、手袋の吸盤が吸着力を失うことは死を意味する。 「ふひひひひ」  隣のテーブルで不気味な笑い声がした。頭の禿げあがった七十代ぐらいの痩せた老人が、リモコンを操作している。  ドローンの数は三機(三人の客にリモコンの操縦かんが渡された)だった。  攻撃対象を見つけたスズメバチのように、窓の外にドローンが集まり、三人の男たちがいる窓に、ぴゅっ、ぴゅっ、と液体洗剤を振りかけていく。 『ああっ』  スーツ姿の男が足元をすべらせ、窓の下にすっと消えていった。それは一瞬の出来事だった。  おおお、というどよめきがレストランに広がる。 「早くも一名脱落したもようです。インターフェア(妨害)成功です!」  司会者が告げると、ドローンを操作している客同士が祝福のハイタッチをする。司会の指示で、いったんドローンによる妨害が休止になる。
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