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『山の頂上で食うカレーとコーヒー、それに一本の煙草だ』
スピーカーから新城の声が響いた。
『登山を始めたころ、奥穂高の頂上で食ったカレーの味は今も忘れられねえ。ただのレトルトカレーだけどな。自分の足で登った山で食うメシは、どんな最高級のフルコースより美味いんだ』
いったん言葉を切り、窓の内側を見渡した。
『この窓の向こうにいる連中は、たかだ高さ三百メートルのビルでメシを食って、天空ディナーとか言ってやがんのさ。笑っちまうぜ。三千メートルの山の上でメシを食ってみろ、おまえもわかる』
にやりと不敵な笑みを浮かべる。
ステージで司会の男が咳払いし、苦笑交じりに告げた。
「まだまだ元気が有り余っているようです。では、これより二回目のインターフェア(妨害)タイムに入りたいと思います。我こそはという方、お手をお挙げてください。スタッフがドローンの操縦かんをお持ちします」
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