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それでいいと思っていた。最高級のレストランで、一か月の家賃をゆうに超える高い料理を食べさせてもらい、至高のディナーと信じていた。
耳の奥に新城の言葉がよみがえる。
『自分の足で登った山で食うメシは、どんな最高級のフルコースより美味いんだ』
一度も自分の力で山に登ったことがない玲奈にはわからなかった。ただ、命を賭けてデスゲームにチャレンジする男の姿は、彼女の心を惹きつけた。
ふらふらと窓に近づいていき、玲奈は窓越しに新城の手に、自分の手を重ねた。ありたっけのパワーを送った。自分にできるのは応援だけだ。
ガラス越しに新城と目が合った。
そのとき、窓にドンと何か大きなものがぶつかる音がして、男の顔が驚愕にゆがんだ。
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