第六話 地上300メートルの天空ディナーはカレー

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 ドローンだった。残った最後の一機が、男の頭にぶつかってきたのだ。  衝撃でバランスを崩し、新城がよろめいた。窓越しに触れ合った手が離れる。ずるっと足が滑り、男の重心が落ちる。足場の縁をつかもうと左手が伸びる。だが、その手には指がなかった。  新城の姿が視界から消える。  玲奈は窓に張り付き、地上を見下ろした。そこには濃い闇だけが広がっていた。 「ざまあみろ」  背後でだみ声がして、玲奈はのろのろと振り返った。ドローンの操縦かんを握った西尾が、唇の端を吊り上げていた。目には狂気の色があった。 「おおっと、ついに最後の参加者が脱落です! ええ……しかし、ドローン本体を参加者の体に接触させるのはルール違反となります。賭けが成立するか、これより運営で協議とさせていただきます。みなさま、しばらくそのままお待ちください」  ざわつく会場に、司会者の声が響く。  赤いドレス姿の玲奈は、へなへなと床に座り込んだ。まぶたを閉じ、唇を噛んだ。頬を温かいものが伝った。
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