第七話 無人島バトルロイヤルで鍋を囲む

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 夜中、ふっと会話が途切れたとき、金髪は「おまえに頼みがある」と言った。 「生きて戻ったら……俺の妹を探してくれないか?」 「いいけど……」 「そこの――」とかまどに顎を振る。「土の下に金を埋めてある。ヤー公から盗んだ5千万だ。それを妹にやってくれ」  純平は驚いたが、必ず妹さんにお金を渡すと約束した。 「普通そんな約束、ぜってえ信じねえけど、おまえはほんとに渡しそうだからな」 「必ず渡すよ」  地球上にデスゲーム以上に残酷なゲームはない。だが、ただ一つ価値を認めるとすれば、人と人の距離を縮め、普通ならありえない絆を結ぶことだろう。  僕たちはいつまでも、しゃべり、笑い、語り合った。  夜が明けたとき、あぐらをかいた僕の膝の上には、まぶたを閉じた金髪の顔があった。おだやかに微笑んだ死体のそばには、空になった白い容器が落ちていた。
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