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旅館の和室ような部屋に5人の男女がいた。みな髪がボサボサで、目の下に黒いクマ、肌には脂が浮いている。それぞれ膝を抱えて座ったり、横たわっている。
部屋の広さは十畳ほど。中央に脚の短い丸いちゃぶ台、隅には畳んだ布団がうず高く積まれている。他に調度類は見当たらない。
一人の若者が、壁に背中を預けて座っていた。首が折れ、うつらうつらと頭が揺れている。かくん、と大きく下がった瞬間、佐野裕紀はまぶたを開けた。
おびえた表情で辺りを見回す。その視線が、隣にいる口と顎にひげをたくわえた五十代ぐらいの中年男性でとまった。
「俺、今ヤバかったですか?」
ああ、とひげ男がうなずく。
裕紀は頬をぴしゃぴしゃと手で張り、頭を左右に振った。くそっ、と言いながらこぶしで自分の顎を殴る。
「清水さん――」
落ちくぼんだ目をひげ男に向ける。
「今、何日目ですか? 俺、だんだん時間の感覚がなくなってて……」
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