第八話 眠気覚ましにはコーヒーとジェラートを

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 和室の襖が開き、白い防護服を着た男たちがわらわらと入ってくる。二人の男が死体の腕と足を持ち、外へ運び出していく。  残りが畳や壁についた血のりを雑巾でふき取る。誰か死ぬごとに繰り広げられるおなじみの光景だった。  残りの4人の参加者は、死んだような目でその光景を見つめている。みんな3日半、一睡もしてないので反抗する気力などない。  防護服と入れ替わるように、メイド服姿の若い女が入ってきた。手には米びつと大きな鍋を持っている。よたよたと歩き、脚の短い丸テーブルの上に置く。 「はーい、みなさーん、ご飯のお時間ですよー」  お玉で鍋をカンカンと叩く。清水さんがのそりと腰を上げ、配食の列に並んだ。祐紀も後に続く。  裕紀を見たメイドがにこっと笑う。 「今回も勝ち残りおめでとうございまーす。お祝いに大盛りにしてあげまーす。はい、デザートの大福も一個サービス」  皿からあふれそうなカツカレーと二つの大福もちに裕紀はじっと目を落とした。お盆を手に部屋の壁際に戻る。
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