第八話 眠気覚ましにはコーヒーとジェラートを

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 あーあ、と小ばかにしたような声が部屋の隅からした。少女が手にコントローラーを持ち、テレビゲームをしている。  年のころは17、8歳ぐらい。ピンクのミニワンピース、ツインテールの髪型が愛くるしい小顔を包んでいる。 「おじさんたちの眠ってない自慢って、うんざりなんですけどー」  アイドルの亜美だった。アイドル事情にうとい裕紀は知らなかったが、清水に言わせれば人気グループの一員らしい。 「こちとら、1日の睡眠時間2時間。ひどいときは30分。そんな生活を一年中続けさせられるのよ。おまけにギャラは雀の涙。アパートの家賃も払えないっての。まあ、おかげで――」  首だけひねってにやりと笑う。 「ちょっとやそっと眠らないでも平気な体になったけどね」  ふん、とホストのタクヤが鼻白んだ。 「このデスゲームがちょうどいい休みになったろ?」
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