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「のはず、なんだけどねえ、ぜんぜん眠くならないのよ。たぶん、眠り方を忘れちゃったんでしょうね」
ゲーム開始当初から、いちばん平然としているのがこの少女だった。部屋には暇つぶし用に、囲碁将棋、トランプなどが置かれていたが、亜美はほとんど会話を交わさず、ぶっ続けでテレビゲームをしている。
ホストのタクヤが白い上着を着なおし、クシで髪を撫でつけた。
「結局、この4人が残ったわけですね。ホスト、アイドル、フリーター――」
亜美、裕紀と巡った視線が、清水の顔で止まった。
「あなたのお仕事だけは、まだお聞きしてませんでしたね」
「ヤクザな仕事だよ。人様に言えるようなもんじゃねえ」
ヒゲの中年男はぷいっと顔をそむけた。
毎回これだ。職業を聞き出そうとしてもはぐらかす。それが逆にみんなの好奇心をかきたて、参加者の間で賭けも行われていた。1位は暴力団の構成員だが、本人が否定している。
アイドルの亜美がゲームをする手を止めた。
「清水さん、ぜったい傭兵でしょ? カタギじゃないオーラすごいもん。私わかる。その目は、人を何人も殺してる目だって」
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