第八話 眠気覚ましにはコーヒーとジェラートを

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 ふ、と鼻先に薄い笑いを洩らす。 「まあ、あながち間違っちゃいねえかな」  裕紀が、で――と話を戻した。 「実際のところ、どうなんですか?」  3人の視線が自分に集まり、ひげの中年男はため息をついた。 「……最後まで生き残れたら、そいつにだけは教えてやるよ」  いつものように清水の口から正解は語られず、議論は終息した。釈然としない空気が漂っていた。なぜ清水は素性を明かさないのか? 裕紀が――いや、全員が思っていた。  清水は犯罪者なのではないか? 強盗? 詐欺? あるいは殺人?  もしその推測が当たっているなら、眠ったら死――というルールに加えて、自分たちは内にも敵を抱えていることになる。  勝つためならどんな汚い手段でも使ってくるはず……。  残りの生存者は4名。最後まで眠らないで生き残った勝者は、賞金1億円を手にすることができる。確率は1/4だ。
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