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「きゃははははは」
急に甲高い女の声が響いた。アイドルの亜美だった。
「デブオタ、きもいんだよ。握手するときにあたしの手をさすってくんじゃえよ。臭うんだよ。マスかいた手で握手会に来るんじゃねえよ!」
見えない相手に向かって怒鳴り続けている。
「幻覚だ。ファンが見えてんだよ。あの娘も限界だな」
清水の冷徹な声がする。
給仕係のメイドが部屋を出ていき、代わりに白い防護服を着た男たちが入ってきた。ホストのタクヤの死体を回収し、部屋を掃除して出ていく。
アイドルの亜美は部屋の隅に正座し、壁に向かってぶつぶつぶと何かつぶやいている。もう精神が壊れてしまったのは明らかだった。
「……狂ってる」
裕紀がうめくような声を洩らした。自分たちも、こんなデスゲームを企画した人間もどちらもだ。この狂気の空間にいると、夜勤のコンビニバイトが懐かしく感じられる。
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