輪廻転生の抽選会

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「あぁ…残念ですね、普通のクジになります!貴方はこちらのクジで抽選会に行ってください、なお、このクジで他の抽選会の会場へ行き使用することは禁じられているので気をつけてくださいね!では頑張ってください!」 天使の輪っかに天使の羽をつけた綺麗な女の人がニコニコしながら僕にクジを渡す。僕はクジを受け取りクジを見る。 クジというのは次の来世の未来を決めるための抽選券でクジにはどうやら2つの種類があって僕のクジはごく一般的なクジだった。運が良ければいい来世になるし悪ければ悲惨な運命のクジになるかも知れない。 さっき来たばかりで僕はクジについてよく分からないが何となく理解がついて早速抽選会の会場へ行ってクジを貰ったけど普通という結果だった。 僕が今いる場所は天界と呼ばれる死後の世界。死んだ人だけが来れる世界。この空間は灰色一色でちょっと不気味だった。 ここに来た原因は親に殺されたから。13歳という若さで僕は死んだ。でも死ぬ前に親を道ずれにしてやろうと思って僕を刺した母親、お母さんを自分に刺さったナイフを引き抜き刺した。だから憎きお母さんもこの世界にいた。 「おめでとうございます!これは一番悪い来世になるクジです!いやぁ貴女に当たると思ってましたよ!閻魔様からのプレゼントですね?ふふふっ…なお、クジをほかの会場で使うことは禁止されていますので……交換すれば運命が変わることもありますよ?ふふふふっ……でもですね…」 先程の女の人の大きな声が聞こえて僕は振り返った。女の人は何かを言おうとしたが口をつぐんだ。 当たりがザワザワしていて僕は気になりその場所へ行った。その場所へ行くと憎きお母さんが青ざめてクジを握っていた。 僕は嫌な予感がして逃げようとしたがすぐにお母さんは僕を見つけて捕まえられた。 死後の世界でもお母さんの言いなりにならなきゃいけないのかよ…そう思いながらため息をついた。 お母さんは思った通りの言葉を僕に掛けた。 「アンタのクジ、私に寄越しなさい!」 「嫌、これは僕のクジだから渡さない」 そう言うとお母さんは顔を顰めて僕から無理やりクジを奪った。僕に自分が当てたクジを押し付けて走って行ってしまった。 また来世は酷い家に生まれるのか…と思いながらこの空間を自由に歩き回ることにした。
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