輪廻転生の抽選会

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お母さんとお父さんは物心つく頃まではとても仲良しでお酒もタバコも家にはなかった。 お母さんが変わったのは僕が10歳になった夏に休みにお父さんが事故で死んでしまった時。数ヶ月後にお母さんは毎日知らない男を家に連れ込んで来ては寝室にこもって男と遊んでいた。 次第に家にはゴミが溜まって酒の瓶や缶、タバコの吸殻などが溜まり始めて僕が殺される一年前には危ない薬、注射器などが増えてきて怖い男の人が家に来るようになった。 お母さんは育児放棄をした。家は出ていかなかったけど僕に暴力を振るうのが当たり前になっていて学校にあまり通えなかった。 お父さんとの記憶は鮮明に残っていて事故に遭う日に将来について話したのが最後になった。お父さんはとても優しくてあまり怒らない人でとても大好きだった。お父さんが死んだ時はお父さんの部屋で大泣きした。 大切な人が死ぬ、僕はお父さんが死ぬまで理解が全くできなかったけどお父さんが死んで理解が出来た。 そういやお父さんと小さい頃にあの世の話をしたことがある。 その話は死んだあと、死んだ人はどこへ行って何をするか、そんな話をしたことがある。 確かお父さんは「転生をするんじゃないかな?また新しく赤ちゃんから生まれてくる、と思うよ」と話してくれた記憶がある。 今、お父さんの言っていたことが本当だってことがわかった。やっぱりお父さんは凄い。 「先程、クジを貰った方はこちらへ来てください!今から抽選会を始めます!」 女の人の声が聞こえて僕はその声がする方に歩いて行った。 歩いている途中、ここに来た人はどんな人かな?と思って色々な人の顔を見たりしながら歩いた。 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!たすけてぇぇぇぇぇぇぇぇ!」 色々な人を見ながら歩いていると聞き覚えのある大きな悲鳴がこの空間に響いた。 その声の元となった人が気になり僕はその声がした方へと歩いていく。 多分さっきの声はお母さんの声だと僕は思った。
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