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毎日決まった時間に食事、夜にはふかふかのベッドで一緒に寝る、そして朝になると食事。
有難い......しかしその気持ちも三年続くと薄れるもので、いつしか僕はそれが当たり前だと思ってしまっていた。
そして感謝の気持ちが薄れると、不満が出てくるものだ、たまに食べるオヤツは格別に美味しい、しかし食事の時間にはこの食べ飽きた味のキャットフード。他の味のも食べてみたくなり、食べないという作戦に出てみたが、空腹に負けて食べてしまう。結局僕にはどうする事も出来なかった。
モヤモヤが続くそんなある日の夜、僕は珍しく夜に窓から外を眺めた。いつもは明るい時間帯に見ていたのだけど、野生の勘というやつだろうか、そもそもこんな飼い猫の僕に[野生]というものが備わっているのかが、疑わしいけど、何故か胸騒ぎがして、外を見たくなった。
数分外を眺めると僕は衝撃的な事態に直面した――――
――――猫だ!
ペットショップにいたあの頃から、他の猫を見る事は無かった。この家が僕の世界だった、建物の外は景色としてしか思っていなかった。
その景色の中に一匹の雌猫がいる、ゆっくりと近づいて来ると、目を見開き硬直する僕の目の前でニヤリと笑う、
大人だ......
大人の猫だ、長く真っ白い毛並み、凛とした態度、黄色く光る瞳、色気さえ感じるその全てが、大人の貫禄に包まれている。
僕も産まれて三年経ったんだから、もう大人だと思っていた自分が恥ずかしい。
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