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パチパチパチ 拍手が、聞えた。放課後ここに用のある人間なんて…。 いや、それより私がこんなことをしているのを見られた…! 恐る恐る振り向くと男が立っていた。制服を着ていないから生徒じゃない。 かといってこんな顔の教師はいない。…誰だ? 男は手を叩きながら私のほうに歩いてきてぐちゃぐちゃのキャンバスを見ている。 左手を腰に、右手で顎を支えてなにか考えているように見えた。 「いいねこれ。タイトル『滅びゆく世界』で、どう?」 男は茶化す様子はなく真面目にタイトルを口にする。 「…だ、誰です、か?」 「白石奏、明日からここで教育実習すんの。もちろん教科は美術」 教育実習…?美術…? 「さ、さよなら…!」 鞄をつかんで美術室を飛び出した。後ろからなにか言ってる声が聞こえたけど頭に入ってこなかった。 私の中には『あの行動』を見られたことが怖くて仕方なかった。 白石、とかいう男はあのことを先生に報告するのだろうか? 私の名前は知っていないと思うけど怖くて一睡もできなかった。
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