白は始まりの色

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―――――― 「やっぱりバスに乗ればよかったんだよ~」 「うるさいな、お前が少しでも節約した方がいいって言ったんだろ」 『まあまあ2人とも。まだ日は高いから大丈夫だよ』 時は現在に戻り・・・・・・ 2人はなだらかでも延々と続いている坂道を歩き続けていて、居心地の悪い焦燥感のようなものと疲れを互いにぶつけ合っているような状態だった。 周りは木々や畑などが見えるだけで、人の気配もあまりない。 先程送られてきた師匠候補である術使いの居場所を目指して前進しているのだが。 最早その方向すら合っているのか、変わらぬ景色が迷宮のようで不安になってきていた。 そんな2人を宥めるようにイツキの肩でチトセは声をかけるが、実は2人にはまだその声は届いていなかった。 チトセはサンショウウオのような見た目で水中でも陸でも過ごせる生き物だった。 2人とチトセが出会ったのは幼い頃で、言葉は通じずとも川で泳ぐうち自然の中で遊ぶうち自然と仲良くなっていった。 それから時が経ち、2人が術使いのスクールに通うことになった時、チトセは彼らの元から離れなくなった。 チトセはそれが自分の役目だと、そう思っている。 「レン、チトセをそろそろ泳がせてあげたいから、少し休憩しよう」 「・・・・・・あぁ、そうだな」 言い合いのようになっていた2人はチトセを介することで再び穏やかに会話を始めていた。
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