白は始まりの色

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「あー、気持ちいいね」 「そうだな」 2人は近くを流れる小川近くに腰を下ろしていた。 チトセは気持ち良さそうに泳いでいる。 近くの岩から染みだしている水をすくって喉を潤し、休息をとっていた。 イツキが鞄から取り出したカルメ焼を2人で分け合って食べる。 ほろっと溶けていく素朴で優しい甘さは疲れを癒してくれた。 ふと視線を上げると、少しずつ日が傾き始めていた。 このままだと今晩の宿を探すのも大変そうだと、レンは顔を顰めていた。 その時、イツキが辺りを見回し不安そうな顔をしていた。 「どうした?イツキ」 そうレンが声をかける頃にはいつの間にかチトセが小川から上がり、2人の元へ来ていた。 「なんかさ、嫌な感じするんだけど」 その言葉を聞いてレンは身構えた。 こういう表情のイツキの勘は冴えていることを知っているからだ。 先程まで穏やかだったはずの空がグレーに染まっていく。 風が段々と強まり木々が騒めき始めた。 イツキは担げていた鞄の中を手で探っていた。 慌てている気持ちを少しでも落ち着かせようと、役に立ちそうなものを頭に思い浮かべている。 レンは背負っていた弓を手にして身構える。 何度も練習をした時の動きをイメージしていた。
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