第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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第二章 普通の女の子に仇はいらない。

「お父様、お母様っ!」  タッタッ、とそんな喜びの滲む足音を立てながら二人に向かって駆け出すと、二人は笑顔で迎えてくれた。  手を広げてくれたお父様の胸に飛び込み、満面の笑みを向ける。 「お帰りなさいっ」 「はは、ただいま、アリス。いい子にしてたかい?」 「はいっ!」  自信を持ってそう答えると、満足そうな表情を浮かべてお父様は懐からなにかを取り出した。 「そうかそうか。そんなアリスにお土産だよ」 「これは……時計?」 「ああ、私とお揃いだ」  ほら、と腕につけた時計を見せるお父様。  思わず頬が緩む。 「ありがとうございますっ! 大切にします!」  大好きなお父様達とともに、屋敷へと歩を進める。  と、私はそこで、重要なことを思い出した。 「お父様!」 「なんだい?」 「私、友達が出来たんですよっ!」  そう。  お父様とお母様がお出かけしている間に、友達が出来たのだ。 「友達?」 「はいっ! デュラン家のご息女と!」  お父様が常日頃仰られている言葉にこんなものがある。 『友人は選びなさい。それ相応の身分の者と付き合うようにしておけば、大人になって困ることはないから』     
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