第一章 借りを返しにいきますね。

22/38
前へ
/283ページ
次へ
「アリスさ……その、日本をなんとかしたら、雪さんのチームに入れてもらおうと思ってるの」 「……は? どうしてだ? まさか、惚れたのか?」 「なっ、違う違う! そういうんじゃなくって……雪さんには人を惹きつける魅力があるんだよね、いつでも必死で、言ってることとやってることが違って、たまにエゴイストで、そういう人間臭いところが」  そう。  だから、きっと雪さんなら神を倒すんじゃないかって、確信めいたなにかがある。  雪さんがなにかを成し遂げるなら、それを少しでも手伝うことができたらって……そう思う。 「それにね、アリス、友達ができたんだ。向こうで、いっぱい。最後まで仲良くはなれなかった人もいたけど、でも、それでも、あそこにいた人たちがアリスの初めての仲間だから」 「お前は、向こうに友達を作りに行ったのか?」  そう言ったお兄ちゃんはの顔は、さっきまでの険しい表情ではなく、優しい表情になっていた。  友達を作りに行ったのか、か。  希さんにも似たようなこと言われたな……。 「どうなんだろうね……。たまたまメニューを開いたら、たまたま募集が出てて、そのときにはもう二十人くらい集まってて、気づけば参加してた」  考え直して辞退することだってできた。  でも、それじゃいけないって思った。     
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加