第一章 借りを返しにいきますね。

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 にこり、満面の笑みを向けるお兄ちゃん。  やっぱりシスコンだった。 「さて、ではお兄ちゃんはお兄ちゃんらしく、妹の手伝いに励むとしよう。月見里雪に手土産を持っていくんだろう?」 「……うん!」 「とは言っても……僕はまだ土地権を手に入れられるレベルじゃない」  土地権……?  そういえば、土地を買う方法を聞いてなかった。 「お兄ちゃんは、土地を買う方法、知ってるの?」 「なんだ? 知らなかったのか? 土地権はレベル八百、つまり、ランクFの昇格報酬だ」 「へぇ……今レベルいくつなの?」 「僕は七百十一だな」  え……負けた。  アリスは一ヶ月も迷宮にこもって六百四十二なのに……。 「ま、まあまあだね。何してたの?」 「アリスを探してた以外にあると思うのか?」 「……ないと思う」  そうだった……こういう人だった。 「じゃあ、当面の目標はレベル八百到達ってことでいいよね」 「ああ、そうだな。あ、そういえば、魔力核石だかはどうするんだ? それがなければ話にならないんだろう?」 「それなら心配ないよ」  その返答に首を傾げるお兄ちゃん。  言うより見せる方が早いかな。  そう思い、クリスタルからアイテムを取り出す。 「ほら」  そう言って、取り出したアイテムを見せる。     
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