第一章 借りを返しにいきますね。

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「うん。今、日本はストレスが溜まってるところだろうし、一年くらいが最高のタイミングだと思うんだよね」 「なんの?」 「雪さんを救世主にするタイミング。溜まりに溜まったストレス、現れるレジスタンス、崩御する国王、みたいな」 「黒い……」  なにか恐ろしいものでも見るような目でアリスを見るお兄ちゃん。  黒いってなんのことだろう。 「それに月見里の現当主って、やり方は間違ってるかもしれないけど、やってることは間違ってないんだよね。お金は当分必要だし、勝手に集めててくれるなら、それを利用しない手はないよね」 「僕はなんだか月見里の現当主がかわいそうに思えてきたよ。僕の妹はいつからこんなに歪んでしまったのか……」 「ちょっと、それどういう意味かな? お兄ちゃん?」  随分と失礼な物言いだ。  実際、それが一番効率いいんだからしょうがないじゃん。 「い、いや、なんでもない」 「はぁ……でも、これ以外ないと思うんだよね。せっかく悪役になってくれてるんだからさ。集めるだけ集めさせて、でも、向こうの地盤が固まらないって、そういう頃合いが多分一年後くらいだから」 「そう……だな」 「じゃあ、そういう方針で決定ってことで」  当面の目標はレベル八百到達。  土地権獲得と共に土地購入。  その後、他名家とのパイプ作り、資金調達。     
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