第一章 借りを返しにいきますね。

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 セーフティゾーン周辺をうろついている魔物、例えばゴブリンやグールなんかはそれこそステータスが上がれば素手でも倒せるんじゃないか、と思えるくらい弱い。  けど、それも、ステータスが上がれば、だ。  ステータスが低くくても素手で倒せないということはないけど、あんな怪物相手に素手で戦う勇気なんて出ない。  それに、魔物は群れる。  セーフティゾーン周辺においてもそれは変わらず、ときに十を超える数の魔物に囲まれたりする。  今となっては百体のゴブリンに囲まれようが封殺できる自信はあるけど、レベル一、初戦でそんな目にあって、加えて武器なしだとすれば、アリスだって大声で泣き叫ぶ。  そう、だから、おそらく、その人――セーフティゾーンに篭ってしまった人達は武器がなかったんだろう。  あったとしても、貧弱な安物に違いない。  セーフティゾーンに篭っていたって、お金は増えないんだから。  商売は女神様運営の店で事足りてるし、そもそも売るものがない。  なんらかのパイプのある大商人だって、輸送ルートも連絡手段も一からではなにも出来ない。  ずっとチュートリアル期間であれば、問題なく暮らせる。  だって、宿代が五百Gだもん。  でも、五千Gに上がればそうもいかない。  みるみるうちに財産は減っていく。  切羽詰まって武器屋に行ったところで大した武器は買えない。     
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