第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 その言葉に従い、ジャネット家には及ばないものの、第二勢力と言っても遜色のないデュラン家のご息女、エマ・クリスティーヌ・ド・デュランを屋敷へ招いた。  当然、褒められるとばかり思っていた。  褒められたくてしたのだから。  でも、お父様は険しい表情を浮かべ、言い放った。 「アリス、デュラン伯爵家との付き合いは控えなさい。はぁ……次からはもう少し考えてから行動してくれ」 「え……?」  侮蔑的な視線を一身に受け、悟った。  私はなにか失敗してしまったのだと。  それでも、初めて出来た友達を失いたくなかった。 「お、お父様っ! そんな、彼女はいい人柄でしたわ!」 「それはそうだろうね。我がジャネット家の方が立場は上なのだから。デュラン家はジャネット家の転落を狙う卑しい血族だ。相手にしてはいけない」  それだけ言って、お父様は平然と玄関へと向かう。 「で、でも――」 「アリス、お父様に逆らってはいけないわ」  私の言葉を遮ったのは、お母様だった。  いつもの優しい笑みはどこにもない。  一体、この人たちは誰なんだろう、と、本気で疑ってしまいそうになった。 「早く中に入りなさい」  私の存在なんて気にも留めていない様子で進んでいく二人を見て、焦燥感に刈られた。  このままどこかへ行ってしまうのではないか。 「お父様っ! お母様っ!」  走っても走っても届かない。     
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