32人が本棚に入れています
本棚に追加
/283ページ
けど、これくらいなら、なんとかならないこともない。
このくらいなら。
大群の奥に目を向けると、明らかに別格の一体がアリスをその六つの目で捉えていた。
――三頭三口六目の竜。
アジ・ダハーカゴブリン[悪魔族]Lv.1674
「ぜーったい、無理でしょっ!! あんなのどうやって倒せっての!? 迷宮のボスは六十以上の数がいたから倒せたんだよ!? アリスはまだ死にたくないよー!!」
バシバシとジスレーヌの背中に八つ当たりすると、ジスレーヌに諌められた。
「……落ち着いてくれ。落ちたいのか?」
なんとなくオヤジギャグに聞こえた台詞に少し落ち着く。
うう……なんでこんな……。
「ジスレーヌ……勝てる? いい子だから逃げよう?」
この提案はもう何度目か。
ルティスとジスレーヌの速さならセーフティゾーンまで逃げ切ることはできる。
でも、この鷲は頑なに断るのだ。
それどころか、突っ込んでいく始末。
「それは出来ない相談だ。敵前逃亡は万死に値する」
「ラスボスのときは逃げたじゃん!」
「あ、あれは、あの男の覚悟を見てだな……」
なにやらごにょごにょと言い訳するジスレーヌ。
なんなの……男ってみんなこうなの……?
それとも雪さんに影響されちゃったの?
最初のコメントを投稿しよう!