第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 けど、これくらいなら、なんとかならないこともない。  このくらいなら。  大群の奥に目を向けると、明らかに別格の一体がアリスをその六つの目で捉えていた。  ――三頭三口六目の竜。  アジ・ダハーカゴブリン[悪魔族]Lv.1674 「ぜーったい、無理でしょっ!! あんなのどうやって倒せっての!? 迷宮のボスは六十以上の数がいたから倒せたんだよ!? アリスはまだ死にたくないよー!!」  バシバシとジスレーヌの背中に八つ当たりすると、ジスレーヌに諌められた。 「……落ち着いてくれ。落ちたいのか?」  なんとなくオヤジギャグに聞こえた台詞に少し落ち着く。  うう……なんでこんな……。 「ジスレーヌ……勝てる? いい子だから逃げよう?」  この提案はもう何度目か。  ルティスとジスレーヌの速さならセーフティゾーンまで逃げ切ることはできる。  でも、この鷲は頑なに断るのだ。  それどころか、突っ込んでいく始末。 「それは出来ない相談だ。敵前逃亡は万死に値する」 「ラスボスのときは逃げたじゃん!」 「あ、あれは、あの男の覚悟を見てだな……」  なにやらごにょごにょと言い訳するジスレーヌ。  なんなの……男ってみんなこうなの……?  それとも雪さんに影響されちゃったの?     
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