第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 紳士なジスレーヌはどこに行っちゃったの? 「はぁ……策はあるの?」 「私が元の姿に戻れば、なんとか……」  元の姿……? 「あれって精々十メートルくらいでしょ?」 「いや、前に見せたのは、フルサイズではない」 「そうなの……?」 「ああ、肩に掴まっていてくれるか?」 「分かった」  戦うことに賛成したわけじゃないけど、まあ、見てからでも遅くないだろう。  そう思い、ジスレーヌの肩にしがみつく。  瞬間、ぐんっと引っ張られるような感覚が身体を襲った。 「え? わっ、きゃぁぁぁあっ!!」  どんどんと上昇していく身体。  ようやく収まった頃には、グレンデルゴブリンの五倍はある大きさになっていた。 「うっわぁ……これ、五百メートルはあるんじゃないの?」 「まあ、そのくらいだろうな」  なんでもない風に応えるジスレーヌ。  こんな大きくなれるなら、もっと早くやって欲しかったなぁ。 「さぁ! 蹴散らしなさい!」 「急に元気になったな……」  だって、これだけの体格差で負けるとかないでしょ。  悠々と会話を楽しんでいると、ルティスが空いている左肩に止まった。 「アリス、なんだこれは?」 「ジスレーヌ、フルサイズ」 「こんな……アリなのか?」     
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