第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 狙いは胴体。  防御力というものは必ずしも当てになるものじゃない。  魔力を纏った武器の貫通力という面において、刺突剣や弓に勝るものはないっと言っていい。  指を放すと同時に凄まじいスピードで飛んでいく矢。  途中で更に推進力が増した。 「ジスレーヌ?」 「風の魔法を付与した」 「そんなこと出来るんだ……あっ!」  真っ直ぐ飛んでいく矢を遮る巨大な手のひら。  そのまま握り潰される。  と、そう思った矢先、矢はそのまま手のひらに風穴を開け、胴体を抉った。 「そう簡単には止まらないさ。私を舐めてもらっては困る」  そうだった。  忘れがちではあるけど、ジスレーヌは神話の怪物フレースヴェルグなのだ。  この自由に飛び回れる自らの土俵の上でこの程度の魔物に、負けるはずがない。  そう思うが早いか、すぐさま続けて矢を放つ。  矢はグレンデルゴブリンの体を削り取り、五分後には絶命させていた。  反撃を受けなければ、レベル三千もこんなものか……。  飛行というハンデは相当でかいらしい。  今回は的が大きかったっていうのもあるか。 「アリス!」  アリスを呼ぶ声に振り返れば、そこにはお兄ちゃんとルティスの姿があった。  どうやら、勝ったらしい。     
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