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狙いは胴体。
防御力というものは必ずしも当てになるものじゃない。
魔力を纏った武器の貫通力という面において、刺突剣や弓に勝るものはないっと言っていい。
指を放すと同時に凄まじいスピードで飛んでいく矢。
途中で更に推進力が増した。
「ジスレーヌ?」
「風の魔法を付与した」
「そんなこと出来るんだ……あっ!」
真っ直ぐ飛んでいく矢を遮る巨大な手のひら。
そのまま握り潰される。
と、そう思った矢先、矢はそのまま手のひらに風穴を開け、胴体を抉った。
「そう簡単には止まらないさ。私を舐めてもらっては困る」
そうだった。
忘れがちではあるけど、ジスレーヌは神話の怪物フレースヴェルグなのだ。
この自由に飛び回れる自らの土俵の上でこの程度の魔物に、負けるはずがない。
そう思うが早いか、すぐさま続けて矢を放つ。
矢はグレンデルゴブリンの体を削り取り、五分後には絶命させていた。
反撃を受けなければ、レベル三千もこんなものか……。
飛行というハンデは相当でかいらしい。
今回は的が大きかったっていうのもあるか。
「アリス!」
アリスを呼ぶ声に振り返れば、そこにはお兄ちゃんとルティスの姿があった。
どうやら、勝ったらしい。
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