第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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「お兄ちゃん……よく勝てたね」 「どうということはないさ」  自慢気に胸を張るお兄ちゃんは、どこか頼もしい。 「じゃあ……この後はどうしよっか」 「そうだな……」 「一緒に戦う?」  そう聞くと、お兄ちゃんは少し考えた後に首を横に振る。 「……いや、別々に行動しよう。アリスと共に戦っていては、僕が負けるのは明白だからね」 「ま、どうせやるなら一番だよね」 「ああ、なにより、兄が妹に負けるわけにはいかないだろう?」  そういう意味だったか……。 「アリスも負ける気はないよ」 「当然だ。手加減されては面白くないからね」  優しい笑みを浮かべたお兄ちゃんの瞳は闘志に燃えていた。  こういう目をしているときのお兄ちゃんは本気だ。  今までだってお兄ちゃんとなにかを競ったことは少ない数あったけど、アリスが勝てたことは一度もない。 「では、また夕飯のときにでも」 「うん」  だから、今回こそはアリスが勝つんだ。   ****  朝食は普通の小麦を使った……にしては普通より美味しいバゲットと、カフェオレで簡単に済ます。  セーフティゾーン境界でお兄ちゃんと別れ、ジスレーヌに飛び乗って空へ。  ゴブリンの大群を見つけ次第、ジスレーヌが姿を変え、低レベルを始末。     
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