第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 残った高レベルの元へ近づき、クロスボウを構える。  南西から強い風。  獲物の進行方向、北。  射距離、約百。  獲物の体長、十。  狙いは目。  感覚を研ぎ澄ませ、ころころと距離の変わる狙いの定めにくいジスレーヌの上から弓を射る。  一射目――右方向に逸れて外れ。 「はぁ……」  大きく深呼吸をし、再び構え直す。  次は気持ち少し左に。  二射目――左に行き過ぎて外れ。  でも、今回は集中を途切れさせず、そのまま三射目、四射目。  どちらも外れ、間髪入れずに五射目。  ――右頬を掠めた。  続けて、六、七、八、と射るが、全て外れる。  九、十射目は右頬に突き刺さった。  そして、十一射目――右目を射抜く。  喜びから思わず手をぐっと握り締める。  けど、まだ気は抜けない。  そのまま矢を射続け、二十九射目にしてようやく、左目を射抜いた。  そこからは獲物にぐんぐんと接近していき、十メートルもないところから獲物に矢を放っていく。  結局、倒した頃には使った矢は五十を優に超えていた。  レベル千百二十、ギガバグベアゴブリン。  十メートルの巨体と、鎧のように硬い毛が全身に生えているのが特徴だ。  バグベアの上位種、ギガバグベアが元の姿だと思う。 「はぁ……」     
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