第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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 その言葉の真意はここにあったのかもしれない。 「才能のあるやつは最初から人間が一生頑張ってやっと届くくらいの魔力を有していたりもする。魔力は努力によっていくらでも伸びるから凡人でもどうにかなる部分はある。人間の才能のあるやつはすぐ怠けるからな」  それは、まあ、一概にそうとも言えないと思うけど。  でも、それだと、努力する凡人が努力する天才に勝つことは不可能ってことになるんじゃ……。  そんな考えを読んだのか、ジスレーヌがアリスの疑問に答えた。 「天才にもいろいろいるからな。魔術の天才、剣術の天才、武術の天才、策略の天才。そして、そのどれもが同時期に揃うことなどほぼない。つまり、凡人にも充分チャンスはある」 「そっか……確かに」  言われてみれば頷ける。  そんなほいほい天才が現れてたんじゃ、天才は天才と呼ばれてない。 「だが、あの女に限っては違う」 「違うって……なにが?」 「あの女は、天才が死ぬまで努力しても届かないだろう高みに――既にいる」 「どういうこと……?」 「いや、そうだな……正確には、天才が死ぬまで努力しても届かないだろう高みに、いつでも辿り着ける、か」 「なに……それ」  意味わかんない。  だって、そんなのはもう、天才って次元じゃない。     
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