第二章 普通の女の子に仇はいらない。

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「天才の中の天才。あの女にはきっと、全能感があるだろうな。果たして、そんなものがあって喜ぶべきかどうかは分からないが」 「…………」  全能感。  普通なら喜ぶべきじゃない。  そんな、「自分でなんでもできる」なんて思い込みは早目に正した方がいいに決まってる。  けど、ジスレーヌに言わせてみれば、あの女は違う、のだろう。  奉日本真白には、本当に、自分でなんでも出来てしまうだけの才能がある。 「……なんか、別の世界のお話って感じ」 「ははっ、だろうな。アリスはアリスで頑張ればいい。もう二週間が経ってしまったから今回のイベントには間に合わないかもしれないが、確実に上達している」 「そうかなっ?」 「ああ、もちろん」  快活な笑みをこぼすジスレーヌにつられて、アリスも頬が緩む。  褒められて悪い気はしない。 「もう、二週間か……」  イベントが始まってから二週間。  ひたすら狩りを続け、現在のポイントは千六百万弱。  ポイントというのは、魔物を倒したときに得られる。  レベル一を一体倒せば一ポイント。  レベル一を三千体倒せば三千ポイント。  レベル三千を一体倒しても三千ポイント。  レベル×討伐数だから、討伐報酬と同じかな。 「さて、では、狩りに戻ろうか」 「うん」  風に乗り、ゴブリンの群れを探して空を滑る。     
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