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ひゅう、と風を切る音を立てて、まだなにもない空間へ矢が飛んでいく。
まるで風がないかのように、真っ直ぐと。
そして、矢は進行方向に現れたリントヴルムゴブリンの翼を射抜いた。
墜落するゴブリン。
そう、翼さえ使えなくしてしまえば、戦闘は終わる。
そんなことより、だ。
「み、見たっ!? ジスレーヌッ!!」
「あぁ、しっかりと見ていた。やったな」
「うんっ!」
たった一射で射抜けたのは初めてだったし、更に少しだけ風魔法を纏わせることも出来た。
これを喜ばないで、いつ喜ぶんだって感じ。
うん……なんか、本当に、これだけ綺麗にいくと爽快だな。
そりゃあたまたまなんだろうけどさ……でも、もう一回って、そう思える。
「さあ、アリス。敵はまだたくさん残ってるぞ」
「うん」
次は風魔法の付与に力を入れてみることにしよう。
どっちもは出来ない。
狙いを定めるか、威力を上げるか、どっちか。
最初から全部出来る才能はアリスにはない。
だから、一つずつ丁寧に。
風属性魔法、例えば、風針を使うときのような感覚を思い出す。
あの全身からなにかが抜ける感覚を手に集中させ、再びイメージを固める。
矢が風を纏い、真っ直ぐ突き進むイメージ。
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